研究概要

[1] 大気エアロゾルを介した寒冷圏陸域植生と大気微量成分との相互作用

温暖化等の気候変動や大気質変動に対する応答感度が高いとされる寒冷圏大気-陸域生態系において、有機エアロゾル中の安定炭素同位体比や植生起源トレーサ有機化合物組成等の複合分析から森林植生への外的ストレス(気温変化、窒素沈着、間伐影響etc.)に対する大気エアロゾルの生成・消失応答を明らかにします。

   <本テーマでのこれまでの主な共同研究機関:北海道大学(北方生物圏フィールド科学センター)、国立環境研究所、森林総合研究所、京都大学>

 

[2] 海洋表層微生物活動に由来する大気有機エアロゾルの生成制御要因

海洋大気中に浮遊するエアロゾルは雲粒の生成などを通して、大気の放射場に強い影響を及ぼします。海水由来の硫化ジメチル(DMS)の酸化生成物である硫酸エアロゾルと同程度存在し、植物プランクトンや溶存態有機物など海洋微生物に由来する大気有機エアロゾルの気候影響が近年、世界的にも注目されています。研究船を利用したフィールド観測を中心に、海洋微生物活動が駆動する大気中の有機エアロゾル生成や変動の支配要因を明らかにすることで、大気-海洋間の有機物を介した新たな物質循環・気候システム像の提案に繋げたいと考えています。

   <本テーマでのこれまでの主な共同研究機関:北海道大学(低温研・環境科学院)、東京大学(大気海洋研究所)、名古屋大学、米国コロラド大学、米国海洋大気庁(NOAA)> 

            

[3] 含窒素有機物組成と同位体を用いた有機態窒素エアロゾルの起源

大気中には窒素が様々な形態で普遍的に存在します。中でもエアロゾル中の窒素量や化学形態は大気の酸化能やエアロゾルの酸性度、新粒子生成や粒子成長、光吸収から生物地球化学的な窒素循環に至るまで幅広い影響を及ぼすと考えられます。しかしながら、有機エアロゾル中における窒素の存在量、化学形態(酸化・還元態)や起源は、大部分が未解明です。本テーマではエアロゾル中の有機態窒素に焦点を当て、反応性窒素の放出源として代表的な大気環境(都市、森林、海洋)で採取したエアロゾル試料を用いた含窒素有機物の組成解析と窒素同位体比測定により、有機態窒素エアロゾルの存在形態(酸化・還元態)と起源を明らかにします。

   <本テーマでのこれまでの主な共同研究機関:名古屋大学、山梨大学>